2026年8月13日

当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。院長の守谷洋です。お久しぶりの投稿でした・・。6月にワールドカップがあり、スポーツ観戦が大好きなもので、日本代表戦は全力で応援させていただきました!やはり4年に1度のワールドカップは見てて最高に楽しいですね。地元伊達市では武者まつりも終わり、本格的な夏がやってきています。さて、話は変わりますが、今回は今TVやネットで話題のやせ薬「マンジャロ(チルゼパチド)」について少しお話させてください。報道ではネガティブな意見が散見されますが、「ちゃんと」使用すれば、効能としてはすばらしい薬剤になります。当院でも2型糖尿病に対して、マンジャロは有効な治療法として数多く使用しております。
■マンジャロの起源は・・?
マンジャロはアメリカに生息するアメリカドクトカゲの唾液に含まれる成分をもとに改良した薬剤です。この時点で「やっぱりヤバい薬なんじゃないか・・?」と思われる方も多いと思いますが、安心してくださいね。アメリカドクトカゲはめったに食事をしない(年に数回程度)にもかかわらず、血糖値が急上昇しない特徴がありました。その唾液から見つかった「エキセンジン-4」という物質が、人間の血糖値を下げる消化管ホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と似た構造を持っていました。GLP-1は体内で数分で分解されますが、トカゲの成分をヒントに開発された物質は分解されにくく、血糖コントロールや食欲抑制に優れた効果を発揮するため、糖尿病や肥満症の治療薬へと発展していきました。
■GLP-1ホルモンとGIPホルモンについて
GLP-1は、もともと私たちの腸から分泌されるホルモンで、食後の血糖を整え、満腹感をもたらす働きを持っています。以下特徴を簡潔に列記します。
・インスリン分泌を促進し血糖を低下!
・胃の働きをゆっくりに、そして満腹感を長く維持!
・「もうお腹いっぱい・・」という指令を脳に送り、食欲を抑制!
マンジャロは上記に加えて、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)というホルモンも関与しています。
・脂肪細胞に働きかけ、脂肪を分解!
・インスリン感受性を高める!
GLP-1 受容体作動薬(GLP-1のみ)で、代表的なものにオゼンピックやウゴービ(セマグルチド)などがありますが、マンジャロはGLP-1とGIPの2つのホルモンが協調的に作用することで、「食欲抑制+代謝改善+脂肪燃焼促進」の3方向から減量や血糖改善を支援します。
■マンジャロの効果・効能
マンジャロの使用効果としては、上記に示す様にまずは「血糖改善」と「体重低下」です。マンジャロは1週間に1回の皮下注製剤(お腹にポチッと打つだけ)であり、効果が1週間ほど継続します。仕事が忙しい方などにうってつけの薬剤です。毎日インスリンを投与している方も、マンジャロに切り替え、十分な血糖改善が得られている方も当院では多々いらっしゃいます。今の時代は医療の進歩に伴い、皮下注製剤も週1回が主流となっています。
体重低下に関してですが、米国で行われた大規模試験(SURMOUNT-1試験)では、生活習慣改善を併用した結果を以下に示します。

つまり、1年で10〜20kg前後の減量が現実的な目安となります。ただし、最初の1-3か月は「身体が慣れる時期」で、体重減少はゆるやかなことが多いです。
マンジャロは体重減少だけでなく、生活習慣病全般の改善にも寄与すると報告されています。
・収縮期血圧を平均5~10mmHg低下
・LDLコレステロールの低下とHDLの上昇
・肝臓脂肪量の減少(非アルコール性脂肪肝炎:MASH改善傾向)
・アルブミン尿減少による腎保護作用
・心血管疾患リスクの低下が示唆される解析あり
■マンジャロの落とし穴 ~失われる「筋肉」の問題~

マンジャロは体重低下を引き起こし、確かに痩せますが、今回一番伝えたかったことに筋肉まで失われてしまうということです。急激な減量では、脂肪だけでなく筋肉や骨も減ってしまうことが古くから知られていますが、これはマンジャロでも例外ではありません。
メタ解析によれば、GLP-1 受容体作動薬で減った体重のうち、およそ 25%が除脂肪量(筋肉を含む)の減少だったと報告されています(Karakasis et al., Metabolism 2025)。とくにチルゼパチド(マンジャロ)やセマグルチド(オゼンピック)のような効果の強い薬ほど、脂肪を多く落とす一方で筋肉の保持には不利という傾向が見られました。
■マンジャロと「運動(筋トレ)」の組み合わせが最強!
では、健康的に痩せるにはどうしたらいいのでしょうか?結論から申し上げますと、運動(筋力トレーニング)と併用になります!臨床試験で「薬+運動」の優位性はすでに示されています。低カロリー食で減量した肥満者を、「なにもしない人」、「運動のみする人」、「リラグルチド(GLP-1 薬)のみ」・「運動+薬を併用する人」の 4 群に分けて1 年間追跡したデンマークの試験(Lundgren et al., NEJM, 2021)では、運動と薬を組み合わせた群が最も良好でした。体脂肪率の低下率は運動単独や薬単独のおよそ 2 倍に達し、減量の維持と健康指標の改善においても併用が最も優れていたのです。
■どんな運動(筋トレ)したらよい?

一番大事なのはウォーキングです。1 日約 2,500〜2,700 歩(20分歩く)という少ない歩数でも全死亡が約 8%、心血管リスクが約 11%低下し、1 日約 8,800 歩あたりで全死亡リスクが約 60%減少することが示されています(Stens et al., JACC, 2023)。「たくさん運動しなければ意味がない」のではなく、少しの運動から確実に効果が積み上がります。おすすめはなるべく階段を使う、車を使用しないなどの心がけが重要です。最近は優秀はスマートウォッチが多数あり、歩数を管理するのもいいでしょう!
※毎日8000歩ウォーキングすれば太ることはほぼないと考えます。
あとは週に2回の筋肉トレーニングなどが理想です。これまた筋トレ動画が多数YouTubeにアップロードされておりますので、自分に合った筋トレ種目を探していただけたら幸いです。
■マンジャロの副作用は・・?
気になる副作用ですが主に消化器症状で、以下のようなケースが多いです。
・吐き気・胃部不快感
・下痢
・食欲不振
・腹痛や膨満感
多くは軽度で一過性のため、対処法は以下の通りです。
・少量ずつ食事を分けて摂る
・脂肪分の多い食事を避ける
・水分と電解質を十分に補う
・医師の判断で整腸剤・制吐剤を併用
低血糖はマンジャロ単体ではほぼ起きません。不思議なことに、いい感じで低血糖にはなりません。急性膵炎の発症率ですが、0.1%以下で統計学的なリスクの有意な上昇は認められておりません。
副作用に応じて医師が用量を調節していきます。
マンジャロは現在、2型糖尿病に対してのみ保険適応となります。マンジャロと同成分の「ゼップバウンド」という薬剤があり、こちらは肥満症に対して保険適応があります。ただし、使用できる施設基準があり、クリニックでは保険診療で投薬することが難しいです。近隣では施設基準をクリアされております「伊達赤十字病院」や「製鉄記念室蘭病院」がございます。もし体重増加があり、思うように痩せることが難しい様であれば、紹介状をお書きさせていただきますので、遠慮なくご相談ください。当院ではマンジャロの保険外診療(自由診療)に関しては積極的に行っておりませんが、当院にて加療希望があれば、一度ご相談ください。健康には運動が重要です。皆さんもぜひ日々の生活に意識していただけたら幸いです。
医療法人社団守谷内科医院 院長 守谷 洋