2025年11月26日

いつも当院のホームぺージをご覧くださりありがとうございます。院長の守谷洋です。今年はインフルエンザが異例の大流行となっております。ワクチンの早期な接種と皆様感染対策にご留意していただけたら幸いです。さて今回は2025年10月29日に新しい肺炎球菌ワクチン「キャップバックス」が発売されました。この最新ワクチンについて、従来のニューモバックスとの違いや、既に接種済みの方への追加接種についても詳しくご説明いたします。
■高齢者の命を脅かす肺炎について

肺炎は多くの方が思われているよりもはるかに深刻な病気です。厚生労働省の令和6年(2024年)人口動態統計によれば、肺炎は日本人の死因の第5位(4.8%)を占めており、誤嚥性肺炎も第6位(3.8%)となっております。さらに重要であるのは肺炎による死亡者の約97-98%が65歳以上の高齢者であるという事実です。
肺炎の原因菌の中でも、肺炎球菌は成人の市中肺炎(病院外で発症する肺炎)の原因として最も多く、全体の約3割を占めています。この肺炎球菌による感染症を予防するために開発されたのが肺炎球菌ワクチンですが、これまでは定期的な再接種が必要でした。しかし、新しい「キャップバックス」の登場により、この状況が大きく変わりつつあります。
■キャップバックスとは?
キャップバックス(CAPVAXIVE)は、MSD株式会社が開発・製造販売する21価肺炎球菌結合型ワクチンです。最も画期的な特徴は、「成人に特化して開発」された肺炎球菌ワクチンであるということです。従来のワクチンが小児用を成人に応用したものであったのに対し、キャップバックス®は成人の感染症データを分析して設計されています。
その成果として、日本成人の侵襲性肺炎球菌感染症の80.3%をカバーする優れた予防効果を実現しています。これは、従来のニューモバックスの実質的なカバー率約56%と比較して、大幅な向上といえます。21という数字は、ワクチンに含まれる肺炎球菌の血清型の種類を表しており、成人の重篤な感染症を引き起こしやすい血清型が選ばれています。
さらに重要な特徴が、結合型ワクチンであることです。結合型ワクチンは、免疫記憶細胞の形成を促し、終生免疫に近い長期持続効果を得ることができます。接種対象は50歳以上の成人で、特に65歳以上の高齢者や、心疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、腎臓病などの基礎疾患をお持ちの方、免疫抑制状態にある方に強く推奨されています。
■ニューモバックスとキャップバックスの違い
従来のニューモバックスは23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)と呼ばれ、23種類の血清型をカバーする多糖体ワクチンです。しかし、多糖体ワクチンは免疫記憶細胞を十分に形成できないため、免疫効果が約5年で減弱し、5年ごとの再接種が必要でした。多くの患者さんが「いつ打ったか忘れてしまう」「5年後を覚えているか不安」とおっしゃるのも無理はありません。
一方、キャップバックスは結合型ワクチンであるため、基本的に再接種は不要です。一度接種すれば、免疫記憶細胞が長期間にわたって肺炎球菌を記憶し続け、感染時には迅速で強力な免疫応答を示します。これにより、「5年ごとの再接種」という負担から解放されることになります。
2025年9月に開催された日本呼吸器学会等の専門家委員会では、「既にニューモバックスを接種された方でも、その後にキャップバックスを接種すれば、以後のニューモバックスの5年ごとの再接種は不要」という方針が示されました。
■ニューモバックス接種済み・接種予定の方のキャップバックス接種に関して
ニューモバックス接種後1年以上経過していれば、キャップバックスの追加接種が可能であり、これにより飛躍的に高いカバー率と長期効果を得ることができます。これから肺炎球菌ワクチンを打つ方は、65歳時にニューモバックスを接種され、その1年後以降にキャップバックスを接種することもお勧めです。
※現時点ではキャップバックスは定期接種の対象外であり、公費での投与は認められておりません・・。
気になる副反応についてですが、臨床試験では注射部位の疼痛が36%、疲労や頭痛がそれぞれ10%以上の方に認められましたが、いずれも軽度で通常1~2日で自然に軽快します。安全性プロファイルは既存のワクチンと同様に良好であることが確認されており、重篤な副反応の報告はほとんどありません。
■当院のキャップバックス接種に関して
- 2025年12月1日より受付を開始します
- 費用は自費接種で13400円(税込)です
- 接種は完全予約制でお電話や当院受付にて接種希望5日前までにご連絡お願い申し上げます
- インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンと同時接種が可能です
接種対象は50歳以上の成人の方ですが、特に65歳以上の高齢者や基礎疾患をお持ちの方には積極的にお勧めいたします。何かご不明点などございましたら、遠慮なく私やスタッフにお声がけください。このワクチンをぜひ利用し、感染症対策のさらなる強化ができればと考えています。
医療法人社団守谷内科医院 院長 守谷 洋