胃の中に潜む菌 ~ヘリコバクター・ピロリ~|北海道伊達市の内視鏡・消化器内科・一般内科・アレルギー診療|胃カメラ・大腸カメラ・人間ドック|守谷内科医院

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胃の中に潜む菌 ~ヘリコバクター・ピロリ~

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2025年6月09日

胃の中に潜む菌 ~ヘリコバクター・ピロリ~

当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。院長の守谷洋です。北海道も暑くなってきており、本格的な夏がもうすぐやってきそうですね。暑さとは関係ありませんが、今回はピロリ菌について解説したいと思います。現在は健診のシーズンであり、会社の健診などでピロリ菌の検査やペプシノゲン検査が陽性や胃バリウム検査で「萎縮性胃炎」を指摘された方はいませんでしょうか?

①ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは正式には「ヘリコバクター・ピロリ」という胃の粘膜に生息しているらせん形の細菌です。端に4-8本の鞭毛という毛があり、活発に活動することができます。従来、胃には強い酸(胃酸)があり、胃の中で生息できる菌は存在しない!と考えられておりましたが、1982年にオーストラリアの医学者(ワレンさんとマーシャルさん)が胃の粘膜にピロリ菌が生息していることを報告しました。その後一気に研究が進み、現在は「胃がんの95%以上はピロリ菌が関係している」ことも報告されています。

②ピロリ菌の感染経路

免疫機能の未熟な5歳くらいまでの乳幼児期に感染するとされています(大人になって感染しても一過性に胃炎で終わることが多いとされ、持続感染は成立しません)。昔からよく井戸水などから感染すると言われてますが、現在においても具体的な感染ルートは不明とされております。しかし口を介した感染(経口感染)が大部分と考えられており、団塊世代では感染率が高く、除菌治療や衛生環境改善などの影響で若年者では著しく感染率は低下しております。

③ピロリ菌が関与している疾患

ピロリ菌は胃粘膜に感染して胃炎を引き起こします。慢性的な胃炎を背景として、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、胃過形成ポリープなどの様々な上部消化管疾患を引き起こします。また消化管以外の疾患との関連性も報告されています。

~ピロリ除菌が強く勧められる疾患~
ピロリ感染胃炎
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃
胃MALTリンパ腫
胃過形成ポリープ
機能性ディスペプシア(FD)
胃食道逆流症
免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病
鉄欠乏性貧血

慢性蕁麻疹やパーキンソン症候群、アルツハイマー型認知症、糖尿病との関連も示唆されており、ピロリ菌陽性の上記疾患の方はピロリ菌の除菌が推奨されます。

④ピロリ菌の診断方法

当院では主に「尿素呼気試験」「抗ヘリコバクターピロリ抗体測定」の2つと胃カメラを行い診断しています。尿素呼気試験とは検査薬をのみ一定時間後に吐き出された呼気を調べる検査で、抗ヘリコバクターピロリ抗体測定検査は血液検査でピロリ菌を調べます。どちらの検査も胃薬を内服していると、偽陰性となってしまう可能性があり、当院では原則検査前は2週間の胃薬内服を中止しております。胃カメラでピロリ菌自体は見えませんが、胃粘膜の所見をみると、内視鏡専門医であれば「今いる」or「昔いたけど今いない」or「いない」の状態はほとんど判定可能です。保険診療での除菌治療は胃がんを否定する必要があるため胃カメラが必須になります。

⑤ピロリ菌の除菌方法

胃酸抑制薬と2つの抗菌薬(アモキシシリンとクラリスロマイシン)の3種類のお薬を7日間内服します。アモキシシリンはペニシリン系ですので、ペニシリンアレルギーがある方などはお薬を変更します。近年はクラリスロマイシンの耐性菌が増えておりますが、それでも1次除菌成功率は約75~90%です。上記で除菌不成功であった場合には2次除菌に移行し、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更して同じく7日間内服します。2次除菌成功率は90%ですので、多くの方は2次除菌まででピロリ菌の除菌が可能です。当院ではピロリ菌除菌後の判定は「尿素呼気試験」で行い、除菌治療薬内服完了後の約1か月後くらいに行います。

⑥ピロリ菌除菌のメリットと注意点

まずは大きなメリットとして胃がんのリスクを1/3程度減らすことができます。また慢性胃炎などの症状(胃もたれや胃部不快感)などが改善します。また上記疾患のリスクも確実に減らすことができます。またもしお子さんがいる方では子供への感染リスクを減らすことにもつながります。注意点としては胃がんのリスクは完全にゼロにすることはできませんので、除菌後の約5年は慎重に内視鏡検査で確認する必要があります。私のこれまでの経験として、除菌後5年から7年くらいは胃がんがけっこうな頻度ででてきている印象です。除菌して10年後には進行胃がんになって発見されたなどはよくある話で、何度もいいますが、除菌後も定期的な内視鏡検査(胃カメラ)が必要です。

当院では朝食をとらずに来院された場合には午前に胃カメラを行うことが可能であり、10時以降に食事摂取をとっていなければ、午後診療の時間に胃カメラを行うことも可能です。健診で異常を指摘された方や最近胃の調子が悪い方、胃がんの家族歴があり心配な方など、お気軽に当院にご相談ください。

医療法人社団 守谷内科医院 院長 守谷 洋 

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