2026年3月29日

当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。院長の守谷洋です。3月に入り、やや北海道も暖かくなってきました。今回はまたワクチンの話です。皆さんはHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンはご存知でしょうか・・?「子宮頸がん」の原因である HPVの感染を予防するワクチンです。2023年4月より、多くのハイリスクHPV型をカバーする9価ワクチン(シルガード9)の定期接種が開始となりました。対象者(小学校6年生から高校1年生相当の女子)には自治体から個別通知が送られていると思います。実はHPVワクチンですが、2013年に積極的接種が中止となった暗い過去があります・・・。当時ワクチン接種後の多様な症状が報告され、ワクチンとの因果関係が疑われ、日本の接種率は0%近く(欧州諸国の接種率は80%)までに落ち込んでしまいました・・・。その後7年が経過し、HPVワクチンの高い有効性、安全性が数々の研究で確認され、2020年に新型のHPVワクチン「シルガード9」が承認されました。
■HPVとワクチン

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんの主な原因として知られており、日本では子宮頸がんの発症率が増加傾向にあります。特に若い世代での発症が目立ち、20代から30代の女性に多く見られるようになってきました。子宮頸がんは早期発見・早期治療が可能ながんですが、進行すると命に関わる病気です。日本でも毎年約1万人が罹患し、約3000人(毎日約9人)が亡くなっているのが現状です。子宮頸がんは「マザーキラー」とも呼ばれ、小さな子どもを持つ若い母親に発症することがあり、子育て世代の女性が病気にかかる、または命を落とすことは、ご家族にとって計り知れない悲しみや負担となります。HPVワクチンは接種によって、子宮頸がんの発症リスクを大幅に低減することができます。現在HPVが感染した際の治療法はなく、いかに感染を予防するかの「予防=ワクチン接種」が何よりも重要であり、また前がん病変のうちに発見し、早期に治療する「二次予防=検診」を組み合わせることで、子宮頸がんは根絶可能な癌と世界保健機関(WHO)は位置づけています。

■HPVワクチンの種類と有効性
現在、日本で使用されているHPVワクチンには3種類あります。
・2価ワクチン(サーバリックス)
・4価ワクチン(ガーダシル)
・9価ワクチン(シルガード9)
2価と4価ワクチンは、子宮頸がんの原因の50~70%を占めるHPV16型と18型に対して効果があります。9価ワクチン(シルガード9)は、これらに加えてさらに5つの型のHPVに対しても効果があり、子宮頸がんの原因の80~90%をカバーします。また海外の臨床データによると、少なくとも10年から12年程度は効果が維持される可能性があると報告されています。(現在も長期追跡調査が続いており、さらに長期の効果が確認される可能性もあります。)総合的にみて現時点での主流は圧倒的に「シルガード9」と言えるでしょう。
■HPVワクチンの安全性
WHOを含む国際的な専門機関も、HPVワクチンの安全性を認めており、現在では、HPVワクチンの安全性は十分に確認されています。もちろん、他のワクチンと同様に、接種部位の痛みや腫れ、発熱などの一時的な副反応は起こる可能性がありますが、これらは通常数日で回復します。重要なのは、ワクチン接種のリスクと子宮頸がん発症のリスクを比較することで、各国のガイドラインなどでも、ワクチン接種による利益がそのリスクを大きく上回ると考えられています。また厚生労働省は各都道府県にワクチン副反応の対応拠点病院を設けています。北海道では北海道大学病院が中心となっております。詳しくはホームページなどをご参照ください。
■男性のHPVワクチン接種について
HPVワクチンは、男性も接種することができます。HPVは性的接触で感染するため、男性も感染する可能性があります。男性がHPVに感染すると、陰茎がんや肛門がん、咽頭がんなどのリスクが高まります。また、男性がワクチンを接種することで、パートナーへのHPV感染リスクを減らすことができます。ただし、現在日本では残念ながら男性へのHPVワクチン接種は任意接種となっており、公費助成の対象外です。しかし近い未来に定期接種の対象になると私は予想しております。女性だけでなく、男性も積極的な接種をすべきが私のスタンスです。
■西胆振地方のワクチン接種の現状
令和6年度の北海道のHPVワクチン接種率は全国平均15%と比較してはるかに低く、11.7%となっており、ワースト2位でした・・。西胆振に関しては一桁台で推移しており、接種率が伸び悩んでいるのが現状です。そこで当院では西胆振地方の未来ある子供たちのために2026年4月より「シルガード9」の接種(定期接種&任意接種)を開始することにしました!
~当院のHPVワクチン(シルガード9)の接種について~
■定期接種
・対象:小学校6年生から高校1年生相当の女子(自治体から個別通知が送られます)
・費用:無料(全額公費負担)
※接種希望5日前までお電話にてご連絡ください!
※キャッチアップ接種などのご相談も可能ですのでご遠慮なくご相談ください!

■任意接種
・対象:9歳以上の男女
・年齢制限: 特に上限は設けられていませんが、一般的に45歳までの女性に対して有効性が認められています。
・費用::全額自己負担(当院の場合:1回税込26,800円)
・回数:9歳〜14歳: 2回または3回接種 15歳以上: 3回接種(初回、2ヶ月後、6ヶ月後)
任意接種の場合は1回の費用が高額であり、トータル費用もかなり高額となります・・。ぜひ公費を活用して、定期接種期間に積極的な接種をお願いしたいと思っております。(男性は残念ながら任意ですが、近い将来に定期接種の対象となると私は予想しています。)このコラムが何かの役に立てれば幸いです。ご不明点などございましたら遠慮なくお尋ねください。
医療法人社団守谷内科医院 院長 守谷 洋